七味納豆 -7ページ目
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ひとつ

『1』

なぜか懐かしい感じのする木造の校舎。

幽霊が出るって噂の旧校舎。

所々穴の開いた廊下やボロボロのトイレ。

先輩達が机に刻んだ古い落書き。

みんなが笑顔でいられるこの学校。

本当に、大好きだった。


梅雨独特の匂いが教室に入ってきた。

濡れた木や土の匂い。雨の匂い。

教室は電気をつけているのに、とても暗く感じた。

空が黒い雲で覆われているからだと思う。

雨は降っていない。

ジメジメとした湿気の多いこの時期は

とてもじゃないけど授業に集中できない。

先生もそれが分かっているのか、教科書を閉じ、

「そろそろ、夏休みに入りますね」

笑顔で言った。

そう。もうすぐ夏休みだ。

まだ2ヶ月先の事だけれど、考えるだけで楽しくなる。

教室中がガヤガヤとうるさくなった。

「静かに。…少し、残念なお知らせがあります」

先生の顔が変わった。

泣きそうな、そんな顔だった。

そして、なんだか寂しそうな声だった。

それに気付いたのか、みんな黙った。

とても静かな教室。時計の針の音だけが聞こえた。

先生が話し始めた。

それは、少しどころじゃない残念なお知らせだった。

「うそ・・・」

誰かが呟いた。

誰かのすすり泣くような声が聞こえた。

机を叩き、教室から逃げるように飛び出す男子もいた。

私だって泣きたかった。教室から逃げ出したかった。

夢であってほしいと願った。

だって、いきなりすぎるよ・・・

「この学校は・・・夏休み中に廃校になる事が決定しました」

だなんて―――。


大好きだった学校は無くなった。

生徒は、学校側が用意した学校に行く事になる。

それはランダムで決まるらしく、今朝まで自分がどこに行くかは誰にも分からなかった。

仲のいい友達と一緒になる人もいれば、その逆の人もいた。

私はというと、全寮制の学校に行くことが決まった。

それだけでも嫌なのに、その学校に行くのが生徒の中で私だけらしい。

友達と離れるのはとてもツライ。

だけど、仕方の無い事だと割り切った。

割り切るしかなかった。

全寮制だから、家族と離れて暮らす事になる。

家から遠い場所だから、めったに会えないだろう。

ここまで不幸が連続すると、なぜか笑ってしまう。

次はどんな不幸が私を待っているんだろう。


つづく

はじまり

マイネームイズ七味です。今決めました。

ゆるゆる書くんで、生暖かく見てくれると嬉しいです。


なぜ今更ブログをはじめるのか。

ブームに乗りたいとか、そんなんじゃありません。

ただ、自分の作品等を誰かに見てもらいたいから。

まぁ、羞恥プレイです。


紹介文通り、小説を書きます。絵も描きます。

あ、日記も書きます。

どうか見てください。

笑ってください。

罵らないでください。


そういうわけで、よろしくお願いします。

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